ロイガーの復活

1981年,北村昌士がキング・クリムゾンとコリン・ウィルソンを強引にくっつけたあたりから世の中が変わって映るようになった。数か月後,今度は滝本誠がキング・クリムゾンとフィリップ・K・ディックをくっつけたことで,世の中はさらに変わって映った。

コリン・ウィルソンの本で最初に読んだのは『宗教と反抗人』だったと思う。古本屋で買う以外,新刊を探そうとはしなかったので,『続アウトサイダー』を次に読み,『アウトサイダー』のページを捲ったのは1年ほど後のことだったように思う。

著者近影をみると,やけに腹の出たさえない男の姿があった。今にして思えば,描かれた内容に則した容姿のようにも思える。姿かたちに説得力はなかったものの,書いたものは面白かった。ハードカバー・ソフトカバーよりも文庫を探すことにして,『宇宙バンパイア』『スクールガール殺人事件』,そして『賢者の石』『ロイガーの復活』を続けて手に入れた。面白かったのは『賢者の石』だ。ボリュームがあり,継接ぎの知識でも物語をつくることができることに驚いた。『ロイガーの復活』はそれに比べると数分の一の厚さで,あまり印象がなかった。いや,印象がないものだと思い込んでいた。

週末から『ロイガーの復活』を読み始めて,この短い小説のなかにアーサー・マッケンがこれほど言及されていたことをすっかり忘れていた。『夢の丘』『怪奇クラブ』など,アーサー・マッケンの小説に一時期,とても嵌っていたことがあって,『夢の丘』にはたぶん,同じ時期に読んだモームの『月と六ペンス』に共通するものを感じたように思う。

『ロイガーの復活』を読み返しながら,しばらく蓋をしていた記憶を書き換えることになったのだ。

連休

土曜日は営業関係の仕事を済ませる予定にしていたものの,台風が近づいているので自宅でサイトの調整に明け暮れる。カスタムフィールドをWoocommerceの商品上で使いたいのだけれど,どうにもうまくいかない。Woocommerce独自のカスタムフィールドがあったので,それを反映してみたものの,どうにも間延びして使い物にならない。ほぼ半日(それ以外にも調整はしたものの)かけて,カスタムフィールドを使うのはやめることにした。

日曜日は午前中からクーラーの掃除。久しぶりに家の仕事を集中してやった気がする。シャワーを浴びて午後,というか夕方から吉祥寺まで買い物に出る。駅下のパン屋で軽く食べてから18時に待ち合わせる。よみた屋まで。少し前,ツイッターで妙なことになっていたのを読んだ。他者のとらえかた(まあ,今の言説から辿って,過去に一貫性を当てはめること自体,非道く暴力的な解釈でしかないものの)から商いへのラベリングまで,事実というか体験に即さないことをえらく短絡的につなげるものだと思った。一方で,その端緒となったツイートをまったく肯定するものではないが,許容量をつくっていく関係性もなにもあったものではないなと思った。で,コリン・ウィルスンの『ロイガーの復活』とウイリアム・アイリッシュの『暗闇へのワルツ』をそれぞれ50円の棚から購入。『暗闇へのワルツ』を捲ると,なかにロンドンからウィーンまでのボーディングチケットが栞代わりに挟んであった。何とも似つかわしい栞だ。

バサラブックスと古書センターでそれぞれ安い本を購入してから家内と落ち合う。コピスに寄り,ブックオフで2冊を購入。夕飯を買って帰宅した。やけに疲れてしまう。夏バテなんだろう。

Lake

グレッグ・レイクが亡くなって何年になるだろう。

という投稿ではなく,お盆休みの間のどこかで家内とアウトレットモールに行くことにした。入間とか南大沢とかを考えたものの,結局,越谷に決めた。

学生時代にアルバイトしていた精神科の病院は,このアウトレットモールの近くにある。元荒川を越えて先なので,すぐ近くとまではいわないものの,越谷駅までとほぼ同じくらいの距離だろう。当時は元荒川を越えた先は何もなくて,そのあたりのイメージというと,何らかの意図を抱えて川に入ってしまった患者さんが辿りついてしまう場所くらいしか思い浮かばない。

昌己からレイクタウンの話を聞いたことがあって,何とも広いのだという。あんなところに誰が好き好んでそんなものをつくったのだろう。そんなものはあんなところにつくるのだと気づかなかった頃なので,話が続くことはなかった。

私や徹,喬史,裕一は東武伊勢崎線沿線のアパート住まいだったのでそのつらさを感じた経験はほとんどないものの,昌己,伸浩は武蔵野線を使って通っていたので,秋から春までの間,武蔵野線のホームの寒さについては何度も話題になった。当時へ通勤時間帯でも20分に1本,それ以外は平気で30分に1本くらいのダイヤ編成だった頃なので,1本逃すとホーム上には上がらず,ホーム下で肩を寄せ合うようにして次の電車を待っているのだそうだ。「武蔵野線のホームの風の冷たさは半端じゃないんだから」。それが南越谷駅だった。もちろん当時,越谷レイクタウンなどという駅はない。新八柱から通っていた伸浩にとって南越谷の次は吉川駅以外,考えられないだろう。

ということで,昼過ぎに家内と家を出た。高田馬場,池袋,武蔵浦和で乗り継ぎがよく,1時間もかからずに越谷レイクタウンに着いた。

買い物をして,夕飯を済ませる。帰りも同じ経路の乗り継ぎはよく,1時間で着いてしまった。にもかかわらず,越谷レイクタウンは彼方にあり,日頃通うような場所ではない。たぶん,あのままどこかのサイトで購入できるならば,わざわざ行くまでのことはない場所だ。イオンモールもアウトレットモールも,場所自体に魅力は何一つないのだよなあ。

40

くるり,Zepp Haneda(2022/8/5)のセットリスト。「ロックンロール」で石若が,スティック左手逆手で高い位置からスネアを叩きつけるクリストファー・マクグァイアを模していたのが面白い。「ロックンロール」のスネアはこうやって叩くのが本筋と言われているような気がしてきた。その少し前,「ハイウェイ」ではバスドラがとても曲にはまって鳴っていた。四つ打といわれると差異がないのではと思っていたが,いや,同じ四つ打でも違うのだなあと感じた。

  1. Bus To Finsbury
  2. 目玉のおやじ
  3. コンバット・ダンス
  4. ブレーメン
  5. 忘れないように
  6. bumblebee
  7. Morning Paper
  8. しゃぼんがぼんぼん
  9. 青い空
  10. 風は野を越え
  11. TIME
  12. さよならリグレット
  13. ばらの花
  14. white out (heavy metal)
  15. マーチ
  16. GIANT FISH
  17. かごの中のジョニー
  18. Tokyo OP
  19. 未発表曲(好きだな夏の香り)
  20. ハイウェイ
  21. loveless
  22. everybody feels the same
  23. ロックンロール

アンコール
En1. 琥珀色の街、上海蟹の朝
En2. 飴色の部屋
En3. 東京

週末

朝一番で下版。表紙の色調整で難題。まあ,印刷された色で確認の段取りを踏み,それで進めるということしかないわけだが。自宅に戻り,少し横になる。14時過ぎから家内と墓参に行く。田無に寄ってブックオフで1冊だけ購入。夕飯を食べて帰宅した。

日曜日は午前中遅く出社する。仕事を少し進めて,午後から印刷所まで行く。火曜日,印刷に立ち会うことにして打ち合わせは予定より早く終わる。昼食をとり,高田馬場のブックオフで数冊,中野に寄り,中野ブロードウェイの4階でさらに数冊購入。ヤミヤミカレーでテイクアウト用に2人分つくってもらい帰宅。

中野ブロードウェイ2階の古本屋で「マンガ少年」1977年7月号が100円で売っていたので購入。当時,友人が毎号買っていて,小学校裏にあった彼の家に行っては読んだ記憶が蘇る。「サイボーグ009」海底ピラミッド編の第1回,4色ページが圧倒的に想像をかき立てる絵で,そこで想像した物語と実際に連載された物語は当然,異なるものの,絵一枚が他者の想像力を刺激することはあるのだ。石森章太郎の絵から想像を刺激されることは残念なことにその後,ほとんどなくなってしまった。それでも,いまだに石森が残したマンガを眺めては美しく感じる理由を探すのだけれど,これは理屈ではなさそうな気がする。

石森章太郎と島田一男に接点はないだろう。ただ,結果として量を残したクリエーターで初期にさまざまな実験を続けた後,作品を残し続けたという意味では共通性があるようにも思う。

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