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会社帰りに伊野尾書店に寄る。「新潮」11月号を捲ったものの,矢作俊彦「ビッグ・スヌーズ」は休載。長年,ファンを続けていると,文字数が必ずしも質につながらないことは十分心得ているつもりだ。旧作をスキャンして,プロの原稿用紙...

9月1日

……大杉を連行した九月十六日のことだ。 (中略) 「さっきも言ってたが,世情はそんなに不穏かね」と,大杉が尋ねた。 「震災火災の地獄図に乗じて,国家転覆を図る者など本当にいるのかい? そちら様と同じだけ,こちら様もどちら...

ビッグ・スヌーズ

先月は休載だった「新潮」連載の矢作俊彦「ビッグ・スヌーズ」を読んだ。細飼とのやりとりで,背景が明らかになるあたりは「眠れる森のスパイ」後半でのクリス・アッカーマンとの会話を思い出した。 発煙筒を投げ込むシーンは『引擎/E...

自由

ハードボイルドの主人公は,自分の行為がきっと他人に与えずに置かない迷惑を知っている。“これだけは出来ない”“これだけは許せない”ために“NO”と言い切る瞬間,そのNOは自分に弾ねかえり,それに傷つくだけの,やわらかい心を...

The days of wine and roses

矢作俊彦の 『マンハッタン・オプ3/はやらない殺意』(光文社文庫)を読み返していた。このシリーズは矢作の小説がはじめて文庫化されたもので,というか文庫オリジナルで編纂されたものだ。それまで埴谷雄高よろしく自作の文庫化は認...

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